■ 掲載のおしらせ、クロマニョン基礎講座、「ビジネス」の文脈を生きる。

ご無沙汰していました。明日(4/25)発売の育児雑誌『ちいさい・おおきい』(ジャパンマシニスト社)No.81「大特集・“ママをする”のがつらくなったら」に寄稿しています。『ち・お』として親しまれ全国に「読む会」をもつこの雑誌、「企業広告が載らない」というのが最大の特徴。出版社は10年前に東京を離れ、湯河原に。なんだかいろいろと気持ち良い、風通しの良いところです。

私が書いたのはスペインの現代ママ事情ですが、それはともかく、通りすがりに見かけたら、ぜひちょいと開いてみてください。「みんなから浮かずになおかつ自分だけうちの子だけ、なんて」「もう時代遅れ」(精神神経科医・石川憲彦氏)と笑い飛ばされたり、「世の中が不景気になると人を不安にする情報を流して(中略)収入を得ようとする」「そんな風潮に流されず楽天的にゆったりと構えて生きていける方法を」一緒に考えよう(小児科医・山田真氏)と勇気づけられたり、気づけば少し元気になっているかなと思います。編集代表は、『赤ちゃんのいる暮らし』などの小児科医・毛利子来氏。みなさん、実は私の「アイドル」なのです。


さて、こちらは本社は神戸の賃貸マンションの一室、取材・執筆・編集・ウェブ作成まで私ひとりでやっている、母親応援ウェブマガジンmamacomoda。95%完成しています! 現在、「ヒトの基本を知って元気になろう〜クロマニョン基礎講座」というメインコンテンツの初回、「『からだ』と『食』−離乳食と幼児食のキモ」の原稿を、治療家の三宅安道氏にチェックしていただいているところ。プロボクサーの長谷川穂積さんや多数の格闘家、舞踊家などの身体をあずかる三宅先生には、インタビューでも登場していただきます。5月半ば公開が目標。


そして、ツレが「社長」をつとめる新規事業NINACOMODAも、99%準備完了! まずはスペイン製のキッズ用アンダーウェアを取り扱います。実はこの事業で、(自分たちにとっては)大きな決断がありました。

この商品は実際に自分たちの娘も使っていたもので、質の良さは自信あり。現地メーカーの代表とも、何度もミーティングを重ねた結果、非常に友好な関係を築けていて、日本輸出向けに特別にいくつも安全性の証明を得たり、社内でもとくに品質確保を徹底させたりと、万全のバックアップ態勢を整えてくれています。NINACOMODAは日本総代理店契約を結びました。すでに初回入荷分も到着し、パンフレット類も整え、最終の全品検針も済んで、さあ、いつでも出荷……。そこに起こったのが、東日本大震災でした。

NINACOMODAの名前の由来は、スペイン語で「女の子」を意味する「niña」と、同じく「快い」を意味する「comodo/a」。女の子が気持ちよさそうに微笑んでいる光景を、イメージしました。こどもが笑えば、大人が笑う。おじいちゃんもおばあちゃんも、ひょっとしたら、通りすがりのひとも……。こどもが笑顔になるような商品を、日本に紹介する。こどもの笑顔を想って作ったメーカーと、互いの顔が見えるような橋渡しをする。それが、NINACOMODAの「やりたいこと」です。

大震災の支援を、NINACOMODAとして、なにかできないか。被災地のこどもたちがひとりでも笑顔になってもらえるようなことが、できないか。しかしまだ起業前で、手元の商品は一枚も売っていません。完全な赤字の状況です。ビジネスとしては、事業を頑張って得た収益からできるだけの支援をするというのが、本筋ではないか。しかし、私たちが扱う、きっとこどもに快適なはずの新しい肌着を必要としてもらえるとしたら、それはいまこの瞬間をおいて他にはないのでは。でも、発売前の商品を放出したら、私たちの生活が……。

家庭内の「会議」は、何日も続きました。そんななか、合気道仲間の岡本篤さんが、EINSHOP義援隊として被災地入りすることを知りました。加古川在住の岡本さんは、地元の阪神淡路大震災での経験をつうじて、今回も早くから支援活動を始めていました。彼が現地のニーズを見てきてくれるということで、私たちも心が決まりました。

100枚、それが現段階でのギリギリの(をいくらか超えている)数です。ピカピカの在庫から、1-3歳用20枚、4-6歳用40枚、8-10歳用40枚を取り分けて、段ボール箱に詰めました。被災地のこどもたちに受け取ってもらえれば、少しでも笑顔になってもらえれば、本当に嬉しいです。今日こちらに戻ってくる岡本さんと近日中に会って、引き受け先について相談させていただく予定です。


いまこの時期に日本で起業する、ビジネスをするということ。それは、「きみたちは、『ビジネス』という文脈の中で、どう生きるのか?」と問われていることだと感じました。いきなり赤字の放出は、おそらく、間違っています。資金を貸す方だったら、即刻アウトと判断されるかもしれません。でも、そういう「始まり」を、NINACOMODAは選びました。……って、ユニクロの支援なんかに比べたら、笑っちゃうようなみみっちい話ですが。

この話を4歳の娘にしたところ、「パパ、かっこいーい!」と手を叩いたあと、「でも、おかねないと、おうちこまる……」 その通り! 思えば娘の下着だってほとんど新調していません(商品に手をつけるわけにもいきませんし)。今後、頑張って、ちゃんと収益も出すからね! 思い切ってこの娘を「社長」にしようかしら。



【今月の『社長』】
11年間勤めていたスペインの会社は、日本食の輸入業。食品をEUに入れる厳しさは身に染みてわかっています。さらに今回の原発事故による風評被害。かつての同僚から状況を聞いて、悶絶していました。あの11年で、それまでマドリードで約30軒だった「日本食(「らしいもの)を含む)を出す飲食店」が、約300軒に増えていたのに。楽な仕事は、ないねぇ。



<リファレンス>

ちいさい・おおきい・よわい・つよい no.81―毎日がんばっているけれど…“ママをする

ちいさい・おおきい・よわい・つよい no.81―毎日がんばっているけれど…“ママをする"のがつらくなったら

・掲載誌です。


こども、こころ学―寄添う人になれるはず

こども、こころ学―寄添う人になれるはず

・精神神経科医の石川憲彦さん、キレのあることばで、違う地平を見せてくれます。


育育児典

育育児典

・小児科医の山田真さんと毛利子来さん。おふたりとも、なにより、小さな命への寄り添い方があたたかいのです。


新版 赤ちゃんのいる暮らし

新版 赤ちゃんのいる暮らし

・ともだちが妊娠すると、つい送りつけてしまう本。